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コラム2026-09-09

006号 「全国大会で優勝する!」その目標、大丈夫?|子どものサッカーと目標設定

「大会で優勝する」「レギュラーになる」。子どもがそんな目標を持つのは、とても素敵なことです。

でも、もしその「結果」だけが"楽しい・楽しくない"の基準になってしまうと、一番苦しくなるのは子ども自身かもしれません。

この記事では、子どものサッカーの目標を"力"に変えるための「結果目標」と「プロセス目標」という考え方と、試合の後に親ができる声かけの具体例を、ジュニア年代を指導する立場からお伝えします。結果目標を否定する話ではありません。 大切なのは、その目標との付き合い方です。

まず、3つだけ考えてみてください

本題の前に、お子さんのことを思い浮かべながら、3つだけ考えてみてください。

・お子さんが今、一番の目標にしているのは何ですか?(「優勝」「レギュラー」「○点取る」など) ・その目標は、お子さん自身の力"だけ"で達成できますか?(相手の強さ、仲間のプレー、監督の判断は、自分では決められません) ・達成できなかったとき、「何ができるようになったか」にも目を向けられていますか?

思い浮かべた目標が、実は一人の力ではどうにもならない部分を多く含んでいた——そんな方も多いのではないでしょうか。

私たちが一番願っていること

上手くなってほしい。試合に勝ってほしい。レギュラーになってほしい。指導者としても、親としても、そう願うのは当然のことです。

ただ、それ以上に私たちが願っているのは、子どもたちにできるだけ長くサッカーを好きでいてほしいということです。

今だけ頑張れる選手ではなく、大人になったときに「サッカーをやっていてよかった」と思える人に。その願いを実現する一つの考え方が、次に紹介する「結果目標」と「プロセス目標」です。

「結果目標」と「プロセス目標」はどう違う?

二つの違いは、とてもシンプルです。

結果目標=「試合に勝つ」「レギュラーになる」「大会で優勝する」など、最終的な成果そのもの ・プロセス目標=「ファーストタッチを丁寧にする」「声を出してカバーに入る」「相手を見てから判断する」など、そこへ向かう日々の行動

大事なのは、この二つを対立させないことです。「勝ちたい」「レギュラーになりたい」という気持ちは、真剣だからこそ生まれるもの。なくす必要はまったくありません。

私たちがお伝えしたいのは、こういう関係です。

「レギュラーになりたい」(結果目標) → そのために何が必要? → 「次の試合は、ボールを受ける前に必ず周りを見る」(プロセス目標)

結果目標が"行き先"をつくり、プロセス目標が"今日の行動"をつくる。 この関係を持てることが、結果に振り回されすぎず、長くサッカーと付き合っていく力になります。

なぜ「プロセス」にも目を向けてほしいのか

理由は大きく二つあります。

一つ目は、サッカーはチームスポーツだということ。どれだけ個人が努力しても、勝敗は仲間のプレーや相手の力量など、自分だけではコントロールできない要素に大きく左右されます。結果だけを目標にすると、自分の力が及ばないところで気持ちが揺れ続けてしまいます。

二つ目は、大きな目標を達成した"その後"です。これは、私たちコーチ自身が現場で感じてきたことでもあります。

見澤コーチも李コーチも、大きな大会という目標を達成した後、次の目標を見つけられずにサッカーへのモチベーションを失っていく選手たちを、これまで見てきました。

結果だけを「頑張る理由」にしていると、それを達成した瞬間、あるいは達成できないと分かった瞬間に、次へ向かう理由を見失ってしまうことがあるのです。

だからこそ、結果に向かう気持ちと同じくらい、「今日、自分は何をやれていたか」に目を向ける力を育てたいと考えています。

試合後、親ができる声かけ【具体例】

とはいえ、「結果を気にしないで」と言っても、子どもの気持ちはそう簡単には切り替わりません。

大切なのは、正解を教えることではなく、子ども自身が自分のプレーを振り返るきっかけをつくることです。ここで効くのは、"評価"ではなく"問いかけ"です。

以下はどれも、つい言ってしまいがちな言葉です。責めるつもりはありません。ほんの少し切り口を変えるだけで、子どもの受け取り方は変わります。

×「なんであそこでパスしなかったの?」 ○「今日、自分で一番良かったと思うプレーは?」

×「もっと周りを見なきゃダメだよ」 ○「次の試合で一つだけ意識するとしたら、何にする?」

×「なんで負けたの?」 ○「今日、できるようになったことは何かあった?」

ポイントは、大人が「シュート良かったね」「もっとこうすべき」と評価してしまう前に、「自分ではどうだった?」と一度たずねてみること。この問いかけの積み重ねが、子ども自身が成長や次の目標を考えるきっかけになります。

(子どもが"自分で考える力"については、「考えなさい」では、子どもは考えられない のコラムでも詳しくお話ししています。)

CORASONが練習で大切にしていること

私たちが練習で意識しているのは、「結果を褒めない」ことではありません。試合に勝てたとき、ゴールが決まったときは、もちろん一緒に喜びます。

それ以上に力を入れて褒めたいのは、次の3つです。

・自分でプロセス目標を立てられたこと ・それを達成しようと努力したこと ・それができるようになったこと

「今日は自分から声を出すって決めてたよね。ちゃんとできてたよ」 「周りを見てからパスを出すの、意識できてたね」

こうした声かけは、サッカーに詳しくなくても、誰にでもできます。お子さんが"自分で決めた行動"をやろうとしていたか。それを見て、言葉にして伝える。それだけで十分です。

自分の頑張りを身近な大人に見てもらえた、認めてもらえた——その経験が、「次も頑張ろう」という力になります。そしてこの「自分で目標を決め、振り返る習慣」は、サッカー以外の場面でも生きる力だと考えています。

(私たちがどんな考えで指導しているかは、スクールの指導方針 もあわせてご覧ください。)

よくある質問

Q. 子どもが試合結果に一喜一憂するのは、悪いことですか? いいえ。真剣に向き合っている証拠です。大切なのは気持ちをなくすことではなく、その気持ちを「今日の行動」につなげていくことです。

Q. プロセス目標には、どんな例がありますか? 「ファーストタッチを丁寧にする」「声を出してカバーに入る」「相手を見てから判断する」など、試合や練習で自分の行動として実行できるものです。年齢や課題に応じて、お子さんと一つ選ぶのがおすすめです。

Q. 子どもと一緒に目標を決めるには、どうすればいいですか? 親から与えるのではなく、「次の試合で一つだけ意識するとしたら?」と問いかけ、お子さん自身の言葉で答えてもらうことが第一歩です。

おわりに|サッカーを長く好きでいてほしい

「大会で優勝する」「レギュラーになる」。大きな目標を持つことは、素敵なことです。

その目標だけを見続けるのではなく、「そのために今日、自分は何をするのか」まで考えてみる。小さな目標を一つずつ達成していく中で、子どもは「できるようになる楽しさ」を感じていきます。

勝った日だけでなく、負けた日にも「今日はこれができた」と思える。その積み重ねが、サッカーを長く好きでいられることにつながっていくのだと思います。

子どもたちがいつか大人になったとき、「サッカーをやっていてよかった」と思えるように。私たちも、結果を一緒に喜びながら、その結果へ向かう一つひとつのプロセスを大切にしていきます。

筆者紹介

見澤拓歩 LEAL CORASON FOOTBALL SCHOOL 稲城校代表

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