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コラム2026-07-05

004号 子どもがサッカーでミスや失敗を怖がる理由|森保一監督の一言から学んだ指導論

004号 子どもがサッカーでミスや失敗を怖がる理由|森保一監督の一言から学んだ指導論

「どうして、うちの子はチャレンジしないんだろう。」 「ミスを怖がってプレーしている気がする。」 サッカースクールや少年団で、お子さまのそんな姿を見たことはありませんか。

「もっと思い切ってプレーすればいいのに。」 「やる気がないのかな。」 そう感じてしまうこともあるかもしれません。

しかし、育成年代の選手を長年指導してきた中で、多くの場合、その理由は「やる気」ではありません。

私は、子どもたちが挑戦できない理由は、大きく二つあると考えています。 一つは、「失敗への不安」。 もう一つは、「どうすればできるのか分からない」という不安です。

今回は、日本代表・森保一監督との忘れられない出来事を通して、私が大切にしているコーチングについてお話しします。

子どもがサッカーで挑戦する様子|LEAL CORASON FOOTBALL SCHOOL 稲城

子どもは「失敗」が怖いのではなく、「失敗した後」が怖い

例えば、苦手な左足だけでシュートを打つ練習を行います。すると、何度声を掛けても左足を使おうとしない選手がいます。あるいは、無意識に利き足で蹴ってしまう選手もいます。

その姿だけを見ると、 「苦手だから逃げている。」 「やる気が足りない。」 そう感じる方もいるかもしれません。

でも、私はそうは考えません。苦手なのは、本人が一番分かっています。

「思うように身体が動かない。」 「また失敗するかもしれない。」 「みんなに笑われたらどうしよう。」 「チームに迷惑を掛けたらどうしよう。」 そんな様々な不安を抱えながらプレーしていることが少なくありません。

だから私は、まず考えます。 「この子は、何を不安に思っているんだろう。」 「練習の意図は伝わっているかな。」 「楽しみながら挑戦できているかな。」

その理由が分かれば、掛ける言葉も変わります。 「失敗しても大丈夫。」 「一緒にコツを探してみよう。」 「このやり方ならできそうじゃない?」

子どもは、やり方が分かり、「これならできるかもしれない」と思えた瞬間、自分から挑戦を始めます。

サッカーが上手くなる子に共通すること

サッカーが上達する選手には共通点があります。それは、挑戦し続けられることです。

もちろん、最初から何でもできる選手はいません。3回でできる選手もいます。10回、20回挑戦してできるようになる選手もいます。一度できたことが、翌日にはまたできなくなることもあります。それが成長です。

子どもの成長スピードも、理解の仕方も、得意なことも、一人ひとり違います。指導者の仕事は急がせることではありません。

その子のペースを尊重しながら、一緒に成長の手がかりを探し続けること。それが育成年代のコーチに求められる大切な役割だと考えています。

森保一監督の一言が、私の指導を変えた

2023年、指導者向けのカンファレンスで、日本代表・森保一監督に質問する機会がありました。

私はこう質問しました。 「現在、明治学院大学サッカー部で監督をしています。日本代表では、どんな選手を評価していますか。あいつらのモチベーションにもなると思うので教えてください。」

すると森保監督は、少し笑顔でこうおっしゃいました。 「李さんは選手との信頼関係があるからこその言葉だと思います。だから何とも言えませんが、私は、自分の選手のことを『あいつら』とは言いません。」

その瞬間、私はハッとしました。悪気はありませんでした。でも、その言葉の奥には、無意識のうちに「教える側」と「教えられる側」という線引きがあったのかもしれません。

森保監督は、日本代表という世界最高峰の舞台で厳しく要求しながらも、選手一人ひとりへのリスペクトを決して忘れません。その姿勢が、あの短い一言に凝縮されていました。

選手を変えようとする前に、理解しようとする

この出来事以来、私が最も大切にしていることがあります。 それは、「選手を変えようとする前に、理解しようとすること。」

「なぜ左足を使いたくないのか。」 「何を感じているのか。」 「どこで困っているのか。」 理由が分かれば、掛ける言葉は自然と変わります。

「一緒に上手くなろう。」 「この方法ならできそうだね。」 「よし、もう一回チャレンジしてみよう。」

その一言が、子どもの勇気になることがあります。そして、その勇気が積み重なることで、技術も、考える力も、自信も育っていきます。

LEAL CORASON FOOTBALL SCHOOLが大切にしていること

LEAL CORASON FOOTBALL SCHOOLは、技術だけを教えるサッカースクールではありません。私たちが育てたいのは、「自分で考え、自ら挑戦できる選手」です。

失敗を責めるのではなく、挑戦を認める。 答えを与えるだけではなく、一緒に考える。 一人ひとりの強みを見つけ、その子らしい成長を支える。

その積み重ねが、「できた」という成功体験になり、自信となり、サッカーだけでなく人生にもつながっていくと信じています。

サッカーを通して身につくのは、技術だけではありません。

課題を見つける力。 改善する力。 仲間とコミュニケーションを取る力。 そして、自分を信じて挑戦する力。

これらは、子どもたちがこれからの人生を歩んでいく上で、大きな財産になると私たちは考えています。

保護者の皆さまへ

もし、お子さまがチャレンジできずに悩んでいるようでしたら、ぜひ「どうしてできないの?」ではなく、 「何が不安なの?」 「一緒に考えてみようか。」 そんな言葉を掛けてあげてください。

その一言が、お子さまにとって大きな安心につながるかもしれません。

私たちLEAL CORASON FOOTBALL SCHOOLも、一人ひとりを理解し、寄り添いながら、子どもたちが安心して挑戦できる環境をつくり続けていきたいと思っています。

筆者紹介

李 成俊 LEAL CORASON FOOTBALL SCHOOL 代表・テクニカルアドバイザー

JFA公認PROライセンス保持。Jリーグ下部組織、東京国体、ブータン世代別代表などで監督を歴任。現在は育成年代の選手育成に携わり、「自分で考え、自ら挑戦できる選手を育てる」ことを理念に指導を行っている。

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